情報など
本の紹介・・・・・精神科在宅ケア(ACT)について
「こころの医療 宅配便」
精神科在宅ケア事始 高木俊介 著
発行:文言春秋 1667円
最近、よく耳にするようになってきたACT。
それでも実践しているところはまだわずかという印象ですが、
この本は、日本初に2004年からAKT-K(京都)として実践してき
た活動の記録とこれまでの日本の精神医療の現状を当事者の物
語を含め語られていて、時にしみじみと、時に痛切に、読み進みま
した。
特に印象に残ったところは、ここの看護スタッフが以前勤めていた
病院でケアしていたチカコさんという利用者さんが、退院後ここの
ACTに紹介され、ACTでフォローするようになり、ある時、その
チカコさんが ・・・・
「病院に入院していた頃の薬はきつかったわ、強制睡眠の
薬よ。その薬を決まった時間にO君やMさんが(現ACTス
タッフ)が飲ませとったんですよ。夜の9時になったら強制
睡眠の薬で眠らされて、朝6時に強制的に起こされてたんよ。
きついわ~。でもO君らの仕事はそういう仕事だったから仕
方なかったのよね。今はみな優しくて、一緒にいて楽しい」
という下り。そしてO君は答える。
「病院時代のチカコさんに対しては申し訳ないつきあいばかり
でした。今はそう思えるのだけど、そのときは何も考えずに、
仕事で決まっていたことをやっていた。今になって考えたら、
何のための病院だったんでしょうね、僕にもようわからんです
わ、今は本当にチカコさんが退院してよかったと思う。」
さらに、
「そうよ、O君も、Mさんも退院してきてよかったわね」と無邪気
に言ってのけるチカコさん。
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入院体験のある当事者の、「入院だけはしたくない!!」という
声を兄弟姉妹の話からよく聞くけれど、そんな病院のベッド数
が飛びぬけて世界一であること、やはり多剤多量大国であるこ
と、地域福祉・医療にお金が行かない仕組みなど、経済大国で
ありながら貧しい精神医療にも、やっと光が当たってきたことを
期待して読み終えました。昨年、一昨年と、さいたま兄弟姉妹
の会でお話し頂いた生活支援センター「杜の家」の児玉さんが、
かなり症状があっても地域で住める、と言われた言葉を重ねな
がら。
尚、新宿家族会「新宿フレンズ」の以下のHPの「講演会抄録」
に、この本の著者でACT-Kを実践してきた高木俊介先生の
昨年10月の講演録が掲載されていています。
現在、ACTとして活動している場所は、以下のHPで
確認できます。
ACT全国ネットワーク
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